医療対話推進研修と患者サポート NPO法人「架け橋」

理事長あいさつ

toyoda_imageこんにちは、豊田郁子です。
NPO法人 架け橋のホームページをご覧いただきましてありがとうございます。

私は医療事故で幼い息子を亡くしました。
その時は、ほんとうに言葉にできないほどの悲しみと怒りを感じ、なぜあの病院に連れていってしまったのか、なぜもっと医師に強く治療を求めなかったのかと自分を責め、息子を死に至らしめた病院を恨みました。

でも、多くの人と出会うなかで、悲しみと怒りのエネルギーで縛られたままではだめだと思うようになり、さまざまな出会いや活動を経て、現在は病院の患者支援室の相談窓口担当者として、院内外の活動に従事しています。

医療事故に遭った患者・家族が本当に求めているのは「その病院がきちんと説明してくれること」、「病院の職員(一員)がちゃんと対応してくれること」です。
当該病院が誠実に対応してくれるのであれば、最初から第三者的な機関や人材に仲介を求める患者・家族は、まずいません。
このことを自身の体験から実感していますので、これからも私は患者支援と医療従事者支援を自ら実践すると共に、院外への普及活動にも取り組んでいきたいと思います。

私が尊敬する医師、故清水陽一さんはいつも「当該の医療従事者に謝罪する場を失わせてはいけない」と話していました。
病院がその当事者を守ろうとして配慮したつもりが、患者に隠しているようにしか見えなければ、結局はその医療従事者を守ることにはならないからです。

私たちの活動は「もう誰も医療で傷ついて欲しくない」という思いからスタートしています。
ともすれば、医療事故の救済というと、被害者に目を向けなければならないという考えだけが強調されますが、医療従事者にも深い傷が残ります。
事故に遭遇した当事者の中には、自分の思いを患者に理解してもらえないと思い込み、そのことで精神的に追い詰められてしまっている人も少なくありません。

私たちは、被害者だけでなく、そんな医療従事者にも寄り添いたいと思っています。
医療従事者と患者は対立関係にあるわけではありません。
日頃、患者団体の事務局として活動している私は、医療従事者の事情や苦しさを理解したいと思っている患者・家族が、実はたくさんいることを知っています。
そのことを医療関係者に伝えて行くことも私たちのこれからの役目だと思っています。

みなさまのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

2012年4月5日
NPO法人「架け橋」  理事長 豊田郁子

<豊田郁子 プロフィール>

1967年生まれ
2003年 3月  医療事故で長男(当時5歳)を亡くす
2003年12月 医療事故、医療安全に関する講演活動を始める
2004年10月 IMSグループ新葛飾病院に勤務し、医療安全対策室・患者支援室相談窓口を開設
2008年 4月 厚生労働省診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会構成員
2008年11月 新葛飾病院患者支援室  医療の質・安全学会第一回「新しい医療のかたち」賞受賞

<現在の活動>

・患者の視点で医療安全を考える連絡協議会事務局長
・日本医療機能評価機構 産科医療補償制度 原因分析委員会 委員
・厚生労働省 医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会 構成員
・厚生労働省 医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会 構成員

<著書>

「うそをつかない医療」(亜紀書房)

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